今から約70年前、昭和21年に細辛のガチ勢により発行された本を紹介します
終戦から一年後の発行ということで、まだ混乱しているであろう中これだけの本を作ってくださった先輩方に敬意を払いつつ突っ込m・・・解説と共に写真を載せていこうと思います
※原本は事情により旅立ってしまったので、コピーでの紹介となります
表紙
↓ 13ページまで写真による品種の紹介(というより栽培者&命名者の紹介)
(一部抜粋)
老いの友は分かりにくいですが、どれも美しい仕上がりです
使われている鉢からも大事にされているのがよく分かります
(朝日錦が朝日殿となっていますがこれはミスです)
↓ 本書の発行に就いて(要約)
昭和10年代、人気めっちゃ出てきたけどみんな栽培方法知らないから本作ったよ
その後戦争が終わって再びファンが増えて本の要望も増えたけど、もう本は残ってないからまた刷ったよ。前回よりも内容は濃いよ
みんな上手に作れるようになって日本の発展に役立つといいなぁ
出版社の方の言葉のようです
ありがとうございます
数十年後大事な資料の一つとなってます
↓ 細辛とは何か(要約)
地下茎から根っこと葉軸を出す植物で、葉っぱの模様を楽しむ観賞植物だよ
この地下茎をマニアは芋と呼ぶよ
葉軸は青軸じゃないとだめだよ
葉の形も質感も模様も色々あって面白いよ
細辛界の情勢
昭和以降の団体発足のメンバーや活動の内容、取引の内容、交換会の情報が載っています
住所ありの個人情報のページと顔写真付きのページは抜いてあります
ふ~んで終わる内容なので写真だけにします
暇つぶしにどうぞ
↓日の出の芋吹500円とありますが・・・
調べてみたら当時の貨幣価値で100万円と出ました(諸説あり)
ちなみに芋吹は本芸をしません・・・
いつの時代どの世界もマニアの熱量ハンパないっす
そして
「満場一致をもって決定」するほどにぎわっていたんですね・・・昔は・・・・・・
↓ ここからは16ページにわたって品種の特徴です
ちょくちょくミスもあり、それぞれの芸の詳細までは書かれていないので、
後輩からすると「もうちょっとkwsk。その説明だとこの品種とこの品種全く同じっすよ先輩」
といったとこでしょうか
まあ、名前だけよりはいいかなあ
↓ 細辛の栽培法(要約)
上手に作れば葉がワサワサ茂って、ちゃんと品種の特徴が出ているのが観賞価値が高いよ
一番きれいなのは夏から秋で、涼しくなるときれいじゃなくなるけど、うまいこと管理すれば一年中きれいだよ
へたっぴに作ると最盛期でもきれいじゃないから頑張って作りゃーよ(名古屋弁)
上手な作り方のコツをこれから書いてくよ
↓ 作場(要約)
温度・光線・空気・水分などが大事だからそれを考えて場所決めて
①直射日光は葉の色が悪くなるし生育も良くないから朝日は当てて西日は早めに避けて
きっちり遮光して直射日光から守って
②強い風はダメだけど、風が全く無いと徒長してきれいじゃないよ
見た目良く作るなら葉が成長するときに西、北の風をちょっとだけ受けさせたげて
③作業しにくいとこだと作業がタルくなるから作業しやすいとこに置こう
④場所は東南がいいよ
風と徒長の関係は我が家では確認していません
方角もそこまで気にしていません
でも西日は我が家でもとことん避けてます
栽培用の鉢 (要約)
蘭や万年青みたいな感じの鉢が実用的で見た目もいいよ
できれば蘭や万年青よりも短くて広いのがいいよ
細辛専用の鉢作ってる人いるよ、使うといいよ
(細辛用は下の方が多少ずんぐりしています。今は作っている人はいません)
用土 (要約)
何でもいいよ
でも何使うにしても土の保水力や排水性を考慮して水を加減してね
腐植土もいいよ。有機質(炭素)がいっぱいだからいいよ
→まじでか!?
腐葉土や培養土だとまず根腐れすると聞いていたんですが、近日やってみます
で、根っこの状態を比較してみたいと思います(実験好き)
植方 (要約)
鉢の底にサナを入れて鉢底石入れてその上に細辛を入れて丁寧に根っこを設置して土入れて水たっぷりやって日陰に置いてね
時期は春の発芽前にやることもあるけど、10月半ばが一番おすすめだよ
(発芽前なので1月いっぱいくらいまでです)
給水 (要約)
水が一番大事だよ。水やりを制する者は細辛を制すよ
暑い時期は一日何度も葉上からかけてね
涼しくなったら減らして。冬は土の乾き具合を見てね
新葉ができてくる時期は葉水をするといいよ。葉が大きく美しくなるよ
水は井戸水よりも流水がいいよ
井戸水使うなら汲み置きしてね
井戸水は冷たすぎるからってことですかね?どのみち今は井戸なんてほとんど無いので流してください
ちなみにこの時期と今とでは夏の暑さが全く違うので、夏、一日に何度も水をかけないでください。召されます(真夏の水やりは記事にまとめてあります)
あと、全体的に水やり多すぎです(数十年大量の細辛を栽培している者曰く)
施肥 (要約)
肥料は必要だけどやりすぎると大抵失敗するよ
ちゃんと加減しようず
寒中と寒明の2回くらいに種粕やるのがいいよ
肥料の作り方も書いてありますが、今はいいのが色々売られているので端折ります
管理 (要約)
季節に合わせた管理で大事に作ってちょ
夏は涼しくして冬は温めて(今の冬はその必要はないです。東海地方基準では)
繁殖法と時期 (要約)
株分けの時期とやり方によっては株の状態が悪くなることがあるから気を付けて
秋の植え替え祭りと合わせてやるといいよ
芋の状態をちゃんと見て適切にカットしてね
そのあと普通に植え付けすれば来年発芽するよ
万年青と同じやり方だけど万年青より簡単だよ
この本の中の人たちはオモトなども同時に栽培していた人が多かったので
↓ 細辛の栽培に就いて将来の観察と希望 (要約)
細辛は栽培が簡単で面白い趣味だから「沼」だよ
この先も愛好家は増える(はず)
でも人気が出ると利益優先して、観賞を楽しむことが軽視されがちだよ
そうなったら細辛の発展にはよくないよ
ファンも商人もそこ気を付けてね
で、細辛が趣味としてずーーーっと盛り上がるといいな
今は愛好家が愛知・岐阜ばっかだけど、全国に愛好家が増えたら株が足りなくなるのでもっと増やさなきゃ
戦争も終わって、これからの日本にふさわしい趣味と認められて喜び~
以上です
要約は、よく分からないのはさくっとスルーしつつヤマカンで訳したのもあるので、間違いがあるかもしれません
この後はひたすら主な栽培者の紹介になっているので全て端折ります
おまけ
途中にあった、細辛品種標本鑑のカラーを載せておきます