古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

色々な用土と根っこ比較実験

そんなにハイレベルの実験ではないですが、興味あったらどうぞ

小さな株ばかり使ったので再生比較みたいになってます

 

実験立ち上げ:2021/6/22

品種:玉霰(切れ端)

容器:透明のプラカップ。底に全て同じ数の穴を開ける

用土:①⑥水苔

   ②⑦市販の草花用培養土(格安)

   ③⑧ブレンド軽石鹿沼・赤玉・日向)

   ④⑨ブレンド+下に水苔

   ⑤⑩日向

根っこが少ない株が多いので土の容量を減らすため1/3かそれ以上に鉢底石として赤玉(大)を敷く

目的:用土ごとによる根の変化を見る

水:リキダス(400倍)+木酢液(2000倍)を混ぜたもの(他の植物で愛用中のため)

タイミング:中が全体的に乾き始めたらor葉がクタンとなってきたら

      株ごとの体力への忖度はしない

[水苔]

6/22 スタート時

新しい白い根も少しはある状態

芋は小さい

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7/31 変化見えず

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9/4 底でモジャモジャを確認。新芽あり

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10/5 もじゃもじゃ

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11/23 植え替え時

それ以上下に行けない根が鉢底でぐるぐる巻いていた

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びふぉーあふたー

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根っこは見違えるほど伸びて本数も増えた

葉の劣化は少ない

潅水→7/6、7/24、8/7、8/21、8/31、9/4、10/5、10/26、11/16

 

6/22 スタート時

芋のみ。根っこ全く無し

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10/5 鉢底でようやく根っこらしきものを確認

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11/23 植え替え時

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びふぉーあふたー

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長い根が三本も伸びたが、芋の古い側が半分腐った

葉の劣化あり(落ちてはいない)

新芽無し

根っこを死守するべし

潅水→7/3、7/31、8/7、8/21、8/31、9/4、10/5、10/23、11/15

 

[培養土]

6/22 スタート時

本数は少なく短いが新しい根が複数出ている

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6/29 早々と赤玉ゾーンに根っこイン

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7/31 長さも本数も増える

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10/5 根っこに異変発見

細くなる&黒く変色

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11/23植え替え時

白い根はゼロ

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芋吹きあり。根っこが弱いので無事育つかは不明

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芋吹きのために芋を横に寝かせて植え付け

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びふぉーあふたー

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結局良かったのは最初だけ。失速し始めてあっという間に悪化

潅水→7/6、7/27、8/7、8/21、8/31、9/4、9/25、10/4、10/15、10/26、11/6

 

6/22 スタート時

根っこの本数は少ないが新しい根っこあり

葉っぱ三枚を支えるには厳しい

芋は長め

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6/29 早々と赤玉へ根っこin

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7/31 見える根っこは2本

傷みのある根は少し伸びた

芋吹きの方の葉は劣化が激しい

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8/31 傷んだ根の先から分岐

新芽と秋葉あり

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9月の間に元々の葉っぱは全滅

展開しているのは秋葉のみとなる

11/23 植え替え時

芋吹き多い

白い根はまあまあ

途中で痛んで途切れた痕跡多数

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びふぉーあふたー

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スタート時と比べると良くはなった

ただ、ベストではない。ベター

潅水→7/3、7/27、8/7、8/21、8/31、9/4、10/1、10/19、11/2、11/15

 

[ブレンド]

6/22 スタート時

白い根メイン

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7月いっぱいまでは全く変化見えず

9/4 根っこ3本による赤玉ゾーンへの侵入を確認

8月中に一気に動いた模様

新芽も見える

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10/5 底まで到達

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11/23 植え替え時

この根のボリュームなら株分け可能レベル

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株分けするなら

上の株になるべく根を残すためにも、下にある芋吹きの上ギリギリの所で切るのがベスト

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新芽の向きに合わせて植え付け

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高さがバラバラなので一部土からハミ出ていてもOK

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本数、長さ共に爆上がり
潅水→7/3、7/27、8/7、8/21、8/31、9/4、10/2、10/16、10/29、11/12

 

6/22 スタート時

3株植え付け

一応一通りある株、葉ありほとんど芋無し根1本、わずかな芋と根っこの切れ端のみ

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7/31 葉っぱ瀕死

根っこは外から全く見えず

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8/31 葉っぱ一枚復活&新芽発見

11月上旬で急激に葉がしおれて取れる

11/23 植え替え時

3株あったうち小さい2つは消滅

一番大きい株はミイラ化

芋も根っこもダメになったら復活無理ゲー

根っこ伸びた形跡はあり

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びふおーあふたー

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潅水→7/3、7/31、8/7、8/21、8/31、9/4、10/1、10/12、10/23、11/6

 

[ブレンド水苔]

6/22 スタート時

芋は大きめ

葉数のわりに根がしょぼい

白い根は複数

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6/29 早々と赤玉に根っこin

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7/31 根っこ本数増える&底まで到達

葉は焦げ始める

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10/5 根に少し傷みが見られる

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11/23 植え替え時

新しい根がぐんぐん伸びている

芋吹きの方は焦げて無くなったが、近いところから再び芋吹きしている

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びふぉーあふたー

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潅水→7/10、7/24、8/7、8/21、8/31、9/4、10/5、10/22、11/8

 

6/22 スタート時

2株

小さな芋

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7/31 根の色が悪くなる

おそらく消滅した側の株の根だと思われる(黒い線は立ち上げ時に見えている根っこに沿ってペンで書いた線)

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9/4 新しい根は伸びている

地上では新芽あり

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10/5 水苔までカラッカラに

でも地上部超元気

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11/23 植え替え時

根っこ少ないけど芋が大きい方は根っこが伸びた

新芽あり

ただ本数は増えていない

芋がほとんど無い株は消滅

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びふぉーあふたー

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潅水→7/6、7/27、8/7、8/21、8/31、9/4、10/5、10/23、11/15

 

[日向土]

6/22 スタート時

芋は大きい

古い根も白い根もちょろり

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10/5 ようやく根っこ見えた

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11/23 植え替え時

長さも本数も抜群の成長率

どこに隠れてた!?

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びふぉーあふたー

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潅水→7/3、8/4、8/21、8/31、9/4、10/4、10/22、11/12

 

6/22 スタート時

芋は小さいが新しい根のボリュームはある

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7/31 根っこの色悪くなる

葉の焦げが少しある

9/4 底でもじゃもじゃ

新芽あり

隠しきれない虫感

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11/23 植え替え時

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びふぉーあふたー

本数、長さ共にそこそこ上向き

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潅水→7/6、7/27、8/7、8/21、8/31、9/4、10/4、10/22、11/12

 

以上、5種類10鉢の結果でした

 

「まとめ」

水苔→◎、△(根が伸びたけど芋が半分腐ったから)

培養土→△、〇   

ブレンド→◎、✖✖

ブレンド水苔→〇、△

日向→◎、〇

 

全体を見て、圧倒的なものは無かった印象

もともと弱い株を使ったので、普通の株を使ったらもっと純粋に用土毎の根の動きが見えたかもしれません

また、土や株に合わせて丁寧に植えつけ・水やりすればどの土でもちゃんと育ちそうです

 

培養土は最初の勢いがよく、途中から失速したのが残念

長期では使わず短期で根を作るか他の土と混ぜるか、何かしら別の使い方がありなのかなと

根が弱い株はブレンドには向かなさそう

今までやっていた通り、水苔での養生が一番良さそうです

今回の結果を受けてやったことのない組み合わせも思いついたので、またそのうち色々と実験してみようと思います

 

改めて感じたこと

「根っこ大事だけど芋もかなり大事」

芋のみから華麗に復活かました株もいたけど、全体的には芋が小さい方が結果が良くなかったように思います

昔から芋をあまり切るなと言われていたそうです

でも増やすなら芋は切らなきゃなので(勝手に割れてるならともかく)、欲張って細切れにするとハイリスクなうえにその後がめんどくs・・・・・・大変です

なかなか大きくならない&増えない植物ということで、大増殖はあきらめて気長に育ててください

ちゃんと体力のある株の方が綺麗な本気の芸を繰り出してくれます(全てではない)

 

ただ、株分けやら植え替えやらしてるとちっさいのがポロッと落ちるんですよね・・・・・・

そんな時は・・・・・・

 

まずは死なせないよう頑張ってください

峠を越えてからがスタートです

 

あと、分厚く敷いていた赤玉(大)

この「分厚く敷く」のがいい影響があったように思います

用土が乾いていても、よっぽど放置していなければ赤玉ゾーンはカップに結露がついていました

中はおそらく程よい湿気と隙間が生み出す存分な酸素があって根っこにとってはいい環境だったのではないかと、カップの外から見ていて思いました

ここももっと実験のしがいがありそうです

 

よく「水やりは表面が乾いたら」という表記を他の植物で見ますが・・・・・・

↓潅水から数日後

分かりやすく日向土で撮影しました

他の土でも同じ感じでした

表面はカラカラ

でも中はしっかり湿っています

この状態、細辛はまだシャキーン(`・ω・´)としてます

表面だけでは水やりの目安にならないことが透明のプラカップでよく見えました

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7/31の皆さんの様子

下の写真右端(瀕死の子)が、のちに召される株

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11/23 リフレッシュ後の皆さんの様子

下の写真からは仲間が一人消えています

⑧番は永久欠番のまま、また同じ用土でもうしばらくやっていこうと思います

一部、元の葉が無くなって芋吹きした秋葉が君臨してます(ちびっ葉)

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人それぞれの管理の仕方、作場環境、植える株の状態などでも結果は変わってくると思うので、栽培の目安にどうぞ~な記事でした