古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

天竜(てんりゅう) Tenryuu



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※ラベルの「瀬戸内ノ月」は仮名

 

登録年:平成11年

発生親:辨天(実生)

葉形:楕円形、表面は平坦

葉肉の厚い絹葉

葉色:深緑

斑芸:蝶(中・薄緑)、谷(中・白緑)、髭(白緑)、下がり藤(極淡い・大)、霰斑(若緑)、胡麻斑(若緑)、切り斑(若緑)、流れ斑(若緑)、覆輪(若緑)

特記:霰斑・胡麻斑が切り斑・流れ斑となる

   葉縁は霰斑・胡麻斑が連結して白覆輪の状態になる

   覆輪状になったものが本芸である

襟合せ:深い

 

2022/2 下がり藤を見落としていたので追加しました

 

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手違いで11年の写真が無かったため、12年の銘鑑を代わりに掲載します

 

同じ斑芸の品種(蝶・谷・下がり藤・髭・斑)

↓常盤(ときわ)

↓三笠(みかさ)

↓昇竜(しょうりゅう)

文字で斑芸を解説した時、同じ説明になる品種は3品種あるが、天竜の大きな特徴を一つ知ることで見分けることができる。それが「葉縁に斑が集まって覆輪のようになる」こと。斑が少なく覆輪にならない葉も中には出てくることもあるが、基本的には覆輪状になるのが天竜の本芸であり特徴

 

似た斑芸の品種(蝶・谷・下がり藤・斑)

↓福姫(ふくひめ)

↓辨天(べんてん)

覆輪状の斑はさておき、違いは髭の有無。天竜には髭があるが、福姫や辨天には髭が無い。ただし、天竜において普通の髭がうっすらとした葉脈髭で出ることもある。さらに福姫に段髭の出現が確認されている。本芸としては福姫に髭があってはならないが、このような斑芸の逆転現象も起こりうるので、とにかく天竜においては覆輪を目安にすること。辨天の方は斑が覆輪になるほど多くなく、特に葉全体が暗い見た目なので、こちらも天竜と間違えることはまず無いと思われる。