春、葉っぱがたくさん出てきた!
と、喜んで見ていたら、なんか小さくて芸もしょぼい葉が出ていて「あれ?」
と思ったことありませんか?
まさか作落ち?
いえいえ
まさか病気?
いえいえ
不安に思う必要はありません
今回はそんなしょぼしょぼ葉っぱの正体について解説していきます
秋の花の時期に書きましたが、基本は1つの花から1つの葉っぱが出ます
それは本芸(その品種で出るべき斑芸)をする葉っぱです
花の無いところからも葉っぱが出ることが多々あります
これも本芸をする葉っぱです
うちではこれを「うれしいおまけ」と呼んでいます
「うれしくないおまけ」も存在します
これは本芸をしません
正式な呼び名は「わき葉」です
本来1枚しか葉っぱが出ないところから、おまけのようにもう1枚出てくる葉っぱのことです
また、成長途中の幼い葉っぱを幼葉といいます
たまに幼いまま成長が止まってしまい、本芸をしないことがあります
葉っぱ一枚しか出せない小さな株で幼葉のまま止まってしまったのをよく見かけますが、大きな株でも見かけるので、メカニズムはよく分かりません
本芸する葉、わき葉、幼葉は見て分かります
さっくりとした解説を念頭に、ここからは写真でお見せします
三笠
・本芸・・・二重蝶、枝谷、下がり藤、髭、各種の斑
・わき葉
全て同じ株から出ている4枚の葉です
わき葉2枚が本芸の葉に比べて物足りなくないですか?
↓真上から見たところ
わき葉は必ず、本芸をする葉の根元からおまけのように生えています
吉法師
・本芸・・・二重蝶、谷、玉、各種の斑
・わき葉
↓
全て2枚の葉は同じところから出ています
左の写真はは本芸と遜色ない芸をしていますが、同じところから出ているもう1枚の葉っぱに比べてかなり小さいです
右の写真は各種の斑が無いため「玉冠」と同じ斑芸です
(吉法師は玉冠+斑の品種)
↓真ん中がわき葉
まわりの葉に比べるとその小ささが分かります
不知火
・わき葉
もちろん小さい方がわき葉です
斑芸がシンプルだと本芸から大きく外れにくいです
白牡丹
・本芸・・・二重蝶、谷、髭(一段)
見えている4枚全て本芸の葉っぱです
・わき葉
真ん中の小さいのが右の葉っぱのわき葉です
小さいながらも本芸と同じ斑芸をしています(まれ)
・幼葉
芸の足りない残念葉っぱ
わき葉とどこが違うのか?
軸を見ると一目瞭然
↓一か所からこの葉1枚しか出ていません
ということは、わき葉でなく本来なら本芸になる葉っぱです
でも幼葉の段階で成長が止まり本芸になれませんでした
おまけ
梅雨真っただ中のこの時期に、葉っぱのふもとからわき葉が育っています
まあ、本芸はしませんが
わき葉が出るのは株の調子がいい証拠
人間からすると芸の甘い失敗作扱いですが、植物にとっては「よけいなお世話」
光合成をしてしっかり株に貢献してくれる大事な一枚です
剪定を考える
細辛は生きた美術品であり、装飾品です
自分だけの棚で楽しむ分には自然体のままで全く問題ないのですが、展示品としてきちんとした場所に飾ったり人様に見せるためには身だしなみを整えて、見た目のよいひと鉢に仕上げなければなりません
つまり、わき葉や幼葉、徒長してバランスを崩している葉は全て切り落とします
ただ、残念葉っぱでも光合成のためには必要な存在
剪定するならできれば葉っぱたちが全て成長しきるまでは待ってあげたいところです
今年は品評会が無かったので全く自然体のままですが、毎年品評会は5~6月あたりに開催されます
それに合わせて毎年成長期に葉の数を減らしていたので、完全に人間側の都合
植物ファーストでいけたらなぁ~と密かに思う次第です
本芸はその品種である証
あくまでその品種である証拠を示すのは本芸をしている葉っぱのみです
わき葉や幼葉のみもしくは作落ちした株の写真を出して、「これは○○です」
って結構やってますけど、昔の愛好家からすると完全にNG行為なんですよね
本芸の出てないものを○○だと言っても言われた側は「は?証拠は?」となるわけです
例えば今回載せた白牡丹が分かりやすくて、二重蝶・谷・髭が出ていればちゃんと白牡丹である証拠となります
(一部芸が落ちる葉があっても本芸するべき葉の大半が本芸ならOK)
でもほとんど二重蝶が無い・ほとんど髭が出ていないとなれば、白牡丹だと言われても「長良錦じゃないの?」「谷間の雪じゃないの?」と考えます
なので、本来なら幼葉のみやわき葉のみ(わき葉しかないって状況もなかなか考えにくいけど)、作落ちした時はこっそり棚のすみに隠し持ってるのが古式ゆかしき愛好の形(?)です
ちなみに、情報として必要だと思ったりこれは載せたい!と思ったりしたら品種名つきで載せていくので、本芸とどう違うのかな?など興味持ってもらえたら幸いです
夏の間には剪定の様子をまとめる予定です
「うちの子」をきれいに仕上げてみてはいかがですか?