古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

続・株分けなどなど

超低速ですが、少しづつ植え替え株分けを進めています。今回も参考になりそうな株たちを撮ってきました

 

 

 

まずは地植えしてあった名も無きカンアオイ(というか種類分からん)

すごい勢いでスクスク育ったので掘り起こしてみました

あまりいい土壌ではなく、ちょっと硬い土のせいか根っこが短め

でも一本一本は結構太めです

掘り上げた時からもう割れていたのと手で割ったのと両方です

やろうと思えばもっと細かく割れますが、そんなに数を増やすつもりはないのでワサワサの大株仕立てにしていきます

 

ちなみに、細辛はほとんどがカントウカンアオイ系なので同じような地域のカンアオイは細辛と似た感じに栽培していますが、南方系や海外系のカンアオイなどは耐寒性や耐暑性、年間栽培スケジュールが違う可能性があるのでその辺りはカンアオイのベテラン勢の情報に従って栽培してください

細辛の栽培に合わない性質の子が召されてしまいませんように

 

↓ 2022年2月の姿(二年弱前)

2021年のどっかで3.5号鉢くらいのサイズで入手しました

二年で何倍になったんだろう・・・・・・

↓ 軸が伸びまくってかなり不格好に

春はそんなに日当たりのいい場所ではないので、そのせいかと

鉢植えする細辛で、こんなに伸びきった姿は展示品としてNGです

何鉢も作れたので、色んな環境に置いて日当たりと軸の長さの実験をしてみたいと思います

↓来年用の新芽(芋吹き)

土の中にいたからこんな幽霊っぽい

でもちゃんと葉っぱになるよとのことです(傷つけるべからず)

↓左2個が芋吹きで右の複数が普通の新芽です

↓数日後の今日、蕾に気が付く

去年は二月に開花してました

暖かすぎて狂い咲き?

 

下から根っこ

↓今日の植え替え対象者たち

冬を迎えて敷物としての水苔もそんなに頑張って湿らせなくなりましたが、

↓根っこはこんなん

鉢を持ち上げたら水苔も持ち上がってきました

↓ナイスもじゃもじゃ

↓去年根伏せした六歌仙の図軍団も、葉は傷んだものの、(ちゃんと対処はすんで今は進行していません)

↓いつの間にか根っこがハミ出てました

分解が楽しみです

次回やります(今月中)

↓別の品種の芋吹き(六歌仙の図と同じ年の根伏せ)

 

雑情報いろいろ

・紅葉

ちょびーっとだけ始まってました

今年はかなり遅いです

↓裏側が染まっても

↓表はこんなん

↓日当たりがいいところに紅葉先発隊が集中してます(少ないけど)

↓表が染まり始めたのはこの一枚だけ

しかも汚い・・・・・・

 

・祝・発芽

去年まいた種の発芽第一号です

真ん中らへんで殻をかぶったまますっくと立っています

将来の大スターになれるよう頑張って生きてくれ

 

本来は春以降、新葉たちがぐんぐん伸びる時期に発芽するのですが、「こんな時期の発芽は異常だわ」とのこと

寒波に負けなきゃいいけど

細辛は結実率低く、発芽率低く、種をまいてから発芽までおよそ一年。双葉のままで一年。そこからようやく斑芸が入る葉っぱになります(でもまだ本芸にはならない)。さらにそこから新品種として登録できる芸になる確率も低く、新登録できる状態になるまで10年以上

そんな細辛の育種にチャレンジしてくれる猛者(狂人)、超大歓迎です♪

 

・生きてるよ

写真では分かりにくいですが、上の方に黒くべちゃべちゃになった葉っぱ(だったもの)が横たわっています

最初にこの黒が目に入ったので「あれ?召された?」と思いきや、

↓よく見るとしっかりした芋があります

軽く土をどかすと芋から根っこが下に向かって伸びています

枯れた葉っぱを見て「枯れた」と思って捨てちゃいけません

葉っぱ無くなっても土の下で元気に生きてる子結構いっぱいいます

P.S.水やり忘れずに

 

・枯れた花の横には・・・

黒くなって、手で触れただけでポロリと取れた枯れた花

↓家主がいなくなった跡地には新芽(来年の主役)がいます

むき出しになったのでお気を付けを

 

・根っこ観察

黒っぽい短い根っこが古い根っこ

白い長いのが今年出た根っこです

↓古い根っこの先からも新しい根っこが出ています

↓ちょっと虫っぽくて嫌なんですけど、これも大事な根っこ

↓これも古い根っこと新しい根っこが顕著に分かるやつ

古い根っこは狭い所で窮屈に育ってたけど、新しい根っこは長くしなやかに伸び伸びと伸びました

鉢からあけたら黒い根っこしかいないというのは、新しい根っこが出せていないということです

原因を探して対処してやる必要があります

 

株分け色々

・勝手に割れたやつ

鉢からあけてみたら勝手に分かれてた。よくあることです

分裂してもいける!!って株が判断(考えたかどうかは知らんけど)して割れたので、勝手に割れるのはいいことです

①天平殿。この地味感が天平殿の本芸です

↓バランスよく割れてました

↓割れてけっこうたつかも

「ここで割れたかな?」って推測くらいしかできない

 

②これも勝手に割れてたやつ

↓片方はこんなに芋が小さいのに

↓根っこはもっさり

こんな芋サイズでも勝手に割れたんであれば問題なく育つらしい

人間の手で無理やりこんなに切るのはNGです

 

・株分け・根伏せ可能

①芋がYの字になっています

Yの下部分の縦棒に当たるのが古芋(そんなに古くない)です

割ろうと思ったら3つに割れます

↓全体像

↓まずはVと縦棒に分けます

切るところはここ

そのまんまVと縦棒のつなぎ目を指してます

(切り取り後の写真は撮りそびれ)

古芋だけで一つの鉢に植え付けて(根伏せ)、出芽(芋吹き)を楽しみに待ちます

↓大きさ変えて何枚か載せておきます

(分かりにくさは変わらないかもですがなんとなくつかんでもらえれば)

 

↓古芋を取った後、Vの字を左右に分けます

それがここ

Vの下部分のとがってるところで切ります

(今回は切らずに据え置きました。来年のお楽しみ)

 

②辨天(本芸ではない)

ホコリダニに襲われ葉が歪んだので、初夏に全ての葉を切り落とした後、新たに繰り出された葉っぱ

芸が甘いうえに小さいです

(ホコリダニの防除記録は冬の間に記事にします。初夏の展示会の前には完全沈黙してるので、ご来場された方々はご安心ください)

↓地下はこんな感じ

芋も根っこもしっかりしてるから、葉っぱをもがれた後にまた追加納品(芸は甘いけど)できたのかなぁと

↓こんなへんぴな場所に新芽ちゃんが

↓色んな角度から観察。

した結果、3つくらいに割れそう

↓これは上から

↓まずへんぴな場所の新芽を出やすくするために新芽の右側で割ろうとしたら

↓なんということでしょう

全然違うところで割れました

↓右端を取り外したら残り真ん中と左端

↓2つのかたまりは簡単に外れるので、左右に引っ張ってパキュッと割ります

写真は撮影のために片手でやっているだけなので、実際には両手で丁寧に割ってください(ピンぼけはすみません)

↓無事分裂

芋が割れる時のなんともいえない感触、癖になります(中毒注意)

↓さんぶんこになりました

手こずっていたら根っこが1本召される

多少の犠牲はしょうがないとのこと

 

③芋と根っこでひとかたまり状態

しかも下の方に新芽が

↓ところがどっこい

裏側から見たら意外と割れそうな場所発見

ちょっと左寄りでくびれているの分かりますか?

ここで簡単に割れるはずです

↓まあ、上から見ると難易度高そうに見えるけど

↓くびれの右と左を両手で持って左右に引っ張ると簡単に割れました

↓右側の、かじられた痕みたいなところが割れたところ

↓深い所にいた新芽が浅くなるので、これで出てきやすいです(右側の色白のやつ)

 

④ど真ん中を陣取っている古い芋が邪魔→割ろう

↓気に入らないデッドスペース(古芋の下)

↓こうやって持って、そっと揺すると芋全体が揺れます

こういう場合は割れる場所で揺れているので割れます

揺れなければ割れるところが無いので割れません

揺するときはやさしい力でよろしくです

↓揺れるところ発見(ピンセットの先)

ここで割れます

割れた後、いつまでたっても株と株が離れにくい

↓古芋と付属物などで複雑な形になった中を、輪っかくぐりのように根っこが通っています

これくらいならそっとやれば引き抜くことができますが、これを放っておくと根が太くなって引き抜けない→割るときに切らなきゃならなくなることもあってちょっと厄介です

↓無事割れました

↓古芋はちょうど小さいほうの株にくっついています

 

⑤簡単なV系

左右の根っこも問題無し。谷底でパキッと割れます

もちろん割らなくてもOK

今回は増やしたいわけでもなかったので据え置きました

 

⑥芋の構造としては①のYの字になってるやつと同じ

これもある意味Yの字です

真ん中のこげ茶色の部分が古い芋で、左右に芋が伸びています

切るならピンセットの先の部分で

写真では分かりにくいですが、左側が小さいのでそちらの方に古芋をつけるように、古芋の右側で切り分けます

 

・株分けできない

①左側のこげ茶色の芋はずいぶん古い古芋です

根伏せしても出るか出ないか微妙なところ

切らずにこのままつけておきます

切っても切らなくても出るか出ないかは株のみぞ知るところ

古い部分だけ枯れて無くなる可能性もあります

 

②芋がほぼ一直線で下の方が細い&上の方にしか根っこがほぼ無い

切れるところがありません

根っこの密集地帯で切ると上の株が弱るし、根っこ密集地帯の下で切ると下の株はおそらく育ちません

「欲張って切ったら枯らすはめになるぞ」と言われましたgkbl

もちろん切ってません

 

③なんかちょっと古芋のかたまりを外せそうな感じのやつ

↓切るとしたらわりと上の方

↓ただし、そこで切ると上の株は根っこ2本になります

↓もうちょっと下で切るとなると上の株は4本

これ以上下では切れません

「いけるやん」と思うでしょ

実はこの株もホコリダニに襲われて葉をもいだ後に追加納品された葉っぱです

元々は普通に大きな葉っぱを繰り出してくる株です

来年もおそらく普通の葉っぱを繰り出してきます

そんな時、根っこが2本、もしくは4本しかなかったら・・・

それまでには多少は増えるとは思いますが

リスクをおかす必要もありません

当然、「ダメ」と反対されました

明らかに割れそうなのはいいのですが、絶妙な株は判断に悩んだり躊躇したらやめておくのが正解です

 

 

※一番しっくりくる手の動きの表現が浮かんだので追記しておきます

左右に引っ張るというか、両手で手縫いをするときみたいな動き、もしくはパピコを割るときか、はんぱに凍ったチューペットをぐねぐね割るときみたいな、ゆすりながら引っ張る感じで割ってください。ごく弱い力でOKです。ダイナミックに割り箸を割るようにパーンと引っ張るのはちょっとかなり危険です。 ・・・イモダイジ・・・