古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

皇陽(こうよう) Kouyou

2022/2 斑の色が地色と同じになっていたので訂正しました

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登録年:昭和17年

葉形:大型の円形葉。表面は全体がやや傘形に下がる

葉肉の厚い毛葉

葉色:鉄色

斑芸:亀甲(粗・薄緑)、谷(太・薄緑)、霰斑(浅緑)、胡麻斑(浅緑)、流れ斑(浅緑)、浅斑(薄緑)

斑芸変化:霰斑の多い少ない

特記:霰斑・胡麻斑が流れ斑となっている

   多くの浅斑があるため、斑芸に変化がある

   地色の部分が多いため、亀甲が明らかである

襟合わせ:深い

 

昭和初期に登録された古い品種です

 

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↓大きめの霰斑が出ることもある

 

似た品種

皇陽に似た品種は2つあります。日の出と朝陽です。どちらも斑の出方によって皇陽のようになることがあります。ですが、少なくとも2,3年芸の変化を確認すればたいてい判別できます。

↓日の出

葉の半分を巨大な霰斑が覆っている、いわゆる源平柄の状態です。日の出は源平柄になりやすく皇陽は源平柄にはまずならないので、この違いで見極められます。また、日の出は斑模様が荒れやすく、皇陽は荒れずに安定しています。

↓日の出。斑模様が荒れている状態

↓日の出。全体に斑が入って皇陽と間違えやすい状態。

↓朝陽。逆芸品種で、基部周りに集中して斑が入るのが本芸

↓朝陽。全体に斑が入っているため、これも皇陽と間違えやすい見た目になっている。ただし、皇陽はこの左右の葉(逆芸)みたいにはならないので、この株はそこで判断することができる。

 

本芸とはいえない斑芸

「皇陽だと思っていたら日の出もしくは朝陽だった」であれば確定できた時点でラベルを付け替えればいいのですが、皇陽はもちろん、どの品種にも属さない芸の個体が存在しています。全体に斑が入るのは皇陽と同じで、違うところは霰斑と地色と亀甲が混在しているのではなく、全体にべったりと斑が入っているところです。大半が斑に覆われるため、基部から谷にかけて要斑のように地色が残っています。これは皇陽の本芸とはいえません。霰斑や胡麻斑・砂子斑は出る場所と形や大きさが定まらないため、斑ものは特に見た目の変化が大きくなります。そのため、時には本芸とは全く違う雰囲気で出ることもあります。それがたまたまであればまだいいのですがあ、毎年そう出るようなら、いわゆるB級品として処分対象、少なくともラベルを外す必要があります。