↓蝶と段髭
基本スタイル
↓極太く出た谷(たまたま)
↓斑が入った状態(たまたま)
↓液肥実験株
秋から葉の展開まで月二回液肥使用
肥料をたっぷり効かせたことで地色濃く鮮やかさが無くなる
段髭もいびつになった
金牡丹の株
右がきちんとした金牡丹の芸(蝶・段髭)
左は作落ちの葉(髭が一段に落ちているが蝶が二重蝶で出たことで白牡丹と同じ芸になった珍しい状態)
登録年:昭和10年(ミスによりしばらく銘鑑に反映されず)
発生親:白牡丹(葉変わり)
葉形:卵状楕円形、葉縁下方へ反る
葉肉の厚い毛葉
葉色:濃い鉄色
斑芸:蝶(中・若緑)、谷(太・薄緑)、段髭(薄緑)
斑芸変化:髭の多少
髭が大きく変化し、2~4段になる
2~3段が最低限であること
良作時は髭が亀甲状となる
特記:白牡丹の葉変わりを固定させたもの
襟合せ:深い
↓蝶と段髭
これが金牡丹のスタンダード。
蝶が二重蝶になっても髭が左右一対になってもいけない。写真は蝶の周りに洩れ斑があるが、現れないことも多々ある
間違えやすい品種
芸が似ていて判別に悩むような品種はありません。ただし、芸を知らないが故にラベルが間違えられてしまうという品種はあります。それが長良錦と白牡丹です
↓長良錦。蝶(一対)、谷、髭(一段)
↓白牡丹。二重蝶、谷、髭(一段)
髭の変化に注意
良くも悪くも髭は変化しやすい芸です。作落ちによって一時的にただの髭になったり、白い斑としての髭が消えて葉脈だけになったりすることもあります。また、わき葉や幼葉の時点では本芸をせず、ただの髭になることもよくあります。本芸の葉があればいいのですが、何らかの理由でそれが無い場合、本物の金牡丹であるという証がありません。こういう株は(品種にこだわるのであれば)買うべきではありません。作り直してきちんと本芸した時に改めて購入をしてもらえたらと思います。
変化色々
「蝶」と「髭」の括りの中で金牡丹は実に個性的な表情を見せてくれます。本芸に幅があるぶん(二段以上の髭)、蝶谷系の中では珍しく変化を楽しめる品種といえるかもしれません。せっかくなので髭以外に変化した葉も紹介しておきます。それぞれ違いを見比べてみてください。
↓襟合わせが極深くなった状態(右の葉)
もともと金牡丹は襟合わせが良いが、これは最高の襟合わせ
↓谷が極太くなった状態。髭も太く良い形で出ている
(上の方にある写真とかぶります)
↓洩れ斑が多く出て髭も亀甲に近づいている
↓段髭の間を蜘蛛の巣が張るように線が入るためちょっとした亀甲のようになっている
(上の方にある写真とかぶります)
亀甲になる金牡丹
↓完全ではないものの、かなり亀甲に近い状態
通常の段髭が発展して、まるで亀甲のようになった金牡丹が存在します。昔、我が家で変化して金牡丹の名前のまま手放した株たちの生き残りで、本芸とはかけ離れていますが、間違いなく金牡丹です。むしろ、完全に亀甲になると本芸の金牡丹より美しく、本芸を知らない方からすると亀甲の方が本物のように感じるかもしれません。作り手としても亀甲になると自慢の対象で、現に昔の文献では亀甲の金牡丹が紹介されていたりもします。ここで心配なのが、金牡丹が入れ替わってしまうことです。直感的に、上芸する株はわりと上芸状態が続きやすく、そうでない株はずっと段髭のままでいるように感じます。もし亀甲が本芸として認識されてしまった場合、段髭の金牡丹は偽物もしくは作落ち株として闇に葬られてしまいかねません。れっきとした本物の金牡丹なのに、あまりに悲しいことです。亀甲になる株を育てている方はぜひ大事に殖やしてもらいたいですし、段髭の株を育てている方も自信をもって堂々と金牡丹として名乗り、また殖やして頂きたいと思います。金牡丹の芸として上質といえるのは亀甲になっていることより、段髭が太く美しい形に出来上がった状態といえます。亀甲まで発展しても線がひょろひょろでは美しいとはいえません。