ほとんどの株が動き始めて、日に日に新芽の状態が変化しています
ここで、今くらいからやっておくことをおすすめする作業があります
それが、「新芽の障害物を排除する」です
細辛は本来、和の空間を飾り付ける装飾品であり生きた美術品でもあります
なので装飾品としてふさわしい姿にするために、鉢にこだわり、良い斑芸にすることはもちろん、株全体の姿も美しく整えなければなりません
生き物である以上、完全に希望の形にすることはできませんが、ひと手間をかけることでベターを追求していくことはできます
それは葉がゆがんで出来上がるリスクを減らすことです
具体的には新芽が成長するルートにある古い葉・古い花や茎の残骸・土などを排除して新芽のルートを確保します
株のサイズにもよりますが、細辛は数枚しかない葉っぱを楽しみます
その数枚は春に完成したらその後は次の春までほぼ増えません
なので毎年春に出る葉っぱ一枚一枚の出来が重要なのです
ただ、わりとめんどくs・・・手間のかかる作業なので、自分だけで眺めて楽しむだけだからこだわらないという方はスルーしてもOKです
もし、今までは気にしなかったけど美しい姿で作ることにこだわってみたい、品評会に出してみたい(規模は小さいけど東海地方で年一回春にあります。今年は不明)という方はぜひぜひ参考にしてみてください
どんな状態なら切るのか・どこを切るのかなど写真と共になるべく分かりやすいように写真と共に解説していきます
①朝陽
ビフォー:葉っぱ5枚、花2個
パッと見問題ないように見えますが・・・
裏を見ると新芽が二つ、ガクに巻き込まれそうになっています
このまま順調に巻き込まれるとハートが半分だけなど変形した葉になってしまいます
これは要救出です
チェックが終わったら、作業の邪魔になりそうな葉を切ってしまいます
切る場所はそんなにこだわらなくてOKで、眉毛を整えるときに使う小さなはさみが切りやすくて便利です
残してあるわき葉やきれいじゃない葉などもこの時切ってしまってOKです
邪魔じゃなければ残しておいても問題は無いです
ただ、全て切り落とすのはおすすめしません
水やりの目安にまだまだ古い葉は必要です
本格的に作業に入る前に、全体の新芽を把握しておきましょう
道具などが当たって知らないうちに新芽を傷つけてしまわないようにです
土に埋もれて見えないところにも新芽はけっこう存在するので筆を使ってそっと土をどかします
もちろん土をどかすときも新芽に気を付けてください
思いがけないとこからも生えています
黒い矢印が新芽なので赤い矢印で示したガクを切り取ります我が家では半端なく切れ味のいい小さいカッターを使っていますが、ハサミでも大丈夫です
どちらにせよ、切れ味にはこだわった方がいいかと思います
切れ味の悪い刃でキコキコしているうちに何かをポキッとやってしまう可能性もあるので・・・
あと、この程度の巻き込み事故なら花ごとは取らない方がいいでしょう
切る範囲を最小に抑えた方が二次災害は起こりにくいですから(種も残せますし)
切りました
新芽が少しうねってますが成長と共に真っすぐになるから大丈夫です
左側の巻き込み事故もガクを切り取って無事解消♪
切り取った切れ端は鉢の中に残さずに全て捨てましょう
残しておくと腐ってカビます(株に悪影響)
あまり見た目変わらないけどアフター
花2つなのにおまけがいっぱいついてて、新芽の数は数えないと分からないほどありました(歓喜)
②不知火
ビフォー:葉っぱ5枚、花4個
ちょっと全体的に埋もれぎみなので、土をどかすよりも手っ取り早く土を減らします
根が少しむき出しになっていますが我慢してもらって・・・
花の周りがずいぶん見やすくなりました
手前の花の右下に新芽が貼り付いてます
赤が新芽。黒いガクが邪魔なので切る前に白い軸が邪魔なので切り落とします
新芽を傷つけないように細心の注意を払って・・・
これでもう新芽の行く手を阻むものはいません
手前の花は種ができることなく傷んだ花ですが、特に邪魔になっているわけでもなく、まわりの新芽を傷つけるリスクがあるので切り取らずに放置します
リスクが無さそうなら取ってもOKです
除いた土で根っこを埋めて完成です(アフター撮り忘れ)
この時切り取った不知火はあまり劣化していないのでパソコンで疲れた目を癒す緑になってもらってます
水につけておけばしばらくは生きています
蓋チラ(花瓶代わり)
③おかめ(全く本芸ではない、変わり葉)
ビフォー:葉っぱ2枚、花3個
こちらも土が多すぎて邪魔なので、少し他の容器に移しました
ピントが合っていなくて分かりにくいですが、花のずっと下の方にも土にもぐって新芽がいくつかできています
よくあることなので土をどかすときは新芽を傷つけないようにそっとやりましょう
他の角度から
赤い矢印で示した新芽が黒い矢印で示したガクに通行妨害を受けています
慎重に切り落として
スッキリ♪
前から見るとこんな感じ↓
この写真には、育っている新芽たち以外にも小さな小さな新芽の元が写っています
目をこらして探してみてください
チェックを終えたら土を戻して、むき出しの根っこを埋めてあげます
新芽も埋めてしまって構いません(その代わりそっと)
出しておいてもOKです
④羅陵王
ビフォー:葉っぱ5枚、花3個
これはちょっと見分けが上級者向けです
葉っぱを一枚切りました
どこをなぜ切ったでしょうか?
↓
↓
↓
↓
赤の矢印が新芽です
緑の線はもともとあった古い葉の軸です
今のところは全くもって邪魔になっていませんが、新芽がこの先どんどん伸びたとき、葉が展開する辺りには古い葉が待ち構えています
邪魔されて変形するか古い葉に覆われて日光を浴びさせてもらえないか、それはその時々で違ってきますが、将来的にはほぼ確実に新芽の邪魔者になるのでそれを見越して今のうちに排除しました
今邪魔になっているわけではないので今すぐにそこまで見越して切る必要はありません
予測することに慣れていなければ、邪魔になりそうだなと確信できたときに切ればOKです
⑤葵錦
ビフォー:葉っぱ6枚、花3個
葉が上部に密集して新芽の通り道を妨害しまくっているので、全体的に葉を間引きする必要があります
古い葉は一枚は残すべき
言い換えると一枚さえ残せばあと全部切ってもOK
というわけで、バランスの悪い葉、邪魔な葉を切っていきます
まずはゆがんで出ている葉と軸もできていないわき葉を除去
緑の線のところにわき葉がありました
無くなって広々~♪
新芽たちの頭上は開けました
残ったのは葉3枚
もっと減らしてもいいんですがね・・・
とりあえず様子見で
⑥地球宝
ビフォー:葉っぱ10枚以上・花1個
だいぶ横に古い葉が倒れてきていますが、まだまだ新芽の通り道は込み合っています
見た目の悪い葉・即邪魔になる葉を中心にカット
アフター:葉っぱ7枚
⑦天平殿(記憶があっていれば)
ちょうど写真のど真ん中に新芽があります
そのすぐ右側に短い葉が・・・
これも進路妨害を受ける可能性があるのでカットします
⑧色々
枯れた花
カビて本体にうつらないよう、また邪魔なルートにあったら取り除いてください
花や古い軸が枯れた部分も同じ理由で取り除いてください
一見、なんの問題もない葉っぱと花二対ですが・・・
周りの土をどけてみると
おまけの新芽がいくつも隠れていました
年末くらいに見つけた、とうもろこし状の花のできそこないです
この花にもちゃんと新芽はできています
なので、できそこないの花は切らないでください