古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

草姿を整える剪定

以前紹介した通り、細辛は全ての葉が本芸するとは限らず、本芸をしない「わき葉」、成長しきれなかった「幼葉」が混在することが多々あります

たしかに、葉の数が多ければそれだけボリュームが出てより豪華に見えますが、本芸をしていないしょぼしょぼ葉っぱで構成されていては、その品種「らしさ」が完全には表せません

株にとっては光合成をしてくれる大事な一枚。でも生きた美術品・装飾品として人様にみてもらうにはきれいに整える必要があります

 

今年はコンテストは無いため剪定はしていないので、一鉢だけ行いました

簡単な内容ですが写真でお見せしていきます

 

モデル:朝陽(ちょうよう)

ビフォー 全体像

下の方に小さなわき葉や幼葉が3枚生えていて少し窮屈そうです

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↓ 3枚とも本芸と遜色ない芸ですが、大きな葉だけで充分ボリュームがあるので3枚とも切り落としますf:id:megumiio:20200725160359j:plain

↓ 切るところ

土から少し離したところで切ってください

理由は土から雑菌が入るのを防ぐため

鋭利なハサミやカッターなどでスパッと

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↓ カット済み

今回は全体を消毒した後に剪定したのでやっていませんが、気になる方は切り口を殺菌してあげてください

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↓ アフター

下の方にゴチャゴチャしていた葉が無くなってスッキリしました

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なんか、そんなに変わんなくね?

そう感じる方もいるでしょう

今ある株ではこの朝陽も含めそこまで大きく変化しない株ばかりなのでリアルタイムでの写真ではお見せできませんが、葉の出方・数・バランスなどによってはとても美しく変わります

 

それがこちら

ずいぶん昔に撮った写真ですが・・・

モデル:日宝龍(にっぽうりゅう)

ちょっとミッチリに見えながらもそこそこバランスよく見えます

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でも、剪定すると・・・

↓ さらにバランスよく美しくなりました

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こんな剪定もあります

モデル:瑞王鶴(ずいおうかく)

こちらも一見このままでもいいと思いがちですが・・・

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↓ 徒長して一番上で自己主張していたジャイ〇ンを切り落としたら

他の3枚にもきちんと陽が当たるようになりました

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本芸をしていないしょぼしょぼ葉っぱや幼葉を落とすのはもちろんですが、きれいにできているそれらを残すこともあれば、逆に本芸をしていても著しくバランスを崩している葉も処分の対象になることもあります

何を残して何を残さないのか

取捨選択のセンスが問われる剪定

ぜひ楽しみながらチャレンジしてもらえたらと思います

 

一応わき葉や幼葉の説明を書いた記事を置いておくので参考にしてください

 

megumiio.hatenablog.com