古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

細辛の株分けの手順

細辛は種から育てて増やしていくのは至難の業です

手っ取り早く増やすには株分けが主となります

そんな細辛の株分けの手順、注意事項などを書いていきます

 

用意するもの

鹿沼土(中粒)

赤玉土(中粒)

鹿沼土(小粒)と赤玉土(小粒)を4:6で混ぜたもの

消毒済の鉢(増えるであろう株数より少し多めに用意する)

消毒済のさなor鉢底ネット

抜いた株を洗うための水

鉢ごとすっぽり入るサイズのバケツ(水入り)

薄めた消毒液

園芸用竹炭(あれば)

マグァンプ(あれば)

古い土を入れるタライ(室内作業であれば)

(↑ここまでは植え替えで用意するものと同じ)

(↓ここからは株分けするための道具)

原液に近い殺菌剤(小皿に適量用意しておく、少しでOK)

殺菌剤を塗るための筆(小さめがやりやすい)

カッター(刃が小さめがやりやすい)

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うちで使っている殺菌剤です

切り口に塗布するのはこれを原液に近い状態で

株全体を消毒するのはこれを薄めて使っています

 

手順

鉢から抜いて一度水につけて土を洗い流すところまでは通常の植え替えの手順と変わりません

詳細はこちらにあります

megumiio.hatenablog.com

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株分けする前

これだけ大きな葉がたくさん出ているということはそれだけ大きな株ということです

安心して株分けできます

 

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別の株ですが、細かい根が張り巡らされていて色もきれいで非常に理想的な根っこです

水やりしてもきっと驚きの吸引力だと思われます

 

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分ける前の株。水につけて土を落とし中

 

汚れを落としたらいよいよ株を割っていきます

割る場所はどこでもいいというわけにはいきません

場所によっては、片割れを弱らせてしまう、下手すると枯らしてしまうことになります

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これはほぼ自力で分かれています

 

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これはV字の真ん中のところで割れます

このとき左右のどちらにもしっかり根がついていることを確認してください

どちらかにしか根が無い場合で分けると根が無い方が弱って枯れてしまうリスクが高いのです

この写真くらい根がしっかりしていて株も大きいと、放っておいてもそのうち勝手に株分けしていきます

そういう株は手で簡単に割れます

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上の写真を裏側から見たところ。割りやすい側から割ってください

指先で探って、真ん中に狙いを定めて板チョコを割るように力を入れるとパキッと別れます

慣れていない、もしくはうまく狙いが定められないときはカッターで切り込みを入れるといいです

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これは慣れていても指では切り離しづらいのでカッターで切り離しました

 

分けたらすぐにほぼ原液の殺菌剤を塗ってください

そのあとは塗った部分が浸からないように薄めた消毒液に浸けてください

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消毒液にin

 

全体を消毒し終わったら新たな鉢に植え付けます

この植え付けの仕方も植え替えの時と手順は同じです

 

株分けできないパターン

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これは株分けしようとして断念した株です

分けるとしたら矢印のところで切るのですが、

そうすると上側の株にほとんど根っこが残りません

リスクはおかせないのであきらめて土を戻しました

 

 

株分けできるパターン色々

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V字のところで分けた片割れです

丸から手前の部分は古芋(ふるいも)といいます

ようは古い部分です

切り分けることもできますがうちでは割りません

株数を増やすことが目的であれば割ってもいいのですが

その代わり、より小さな株になり、そのぶん体力のない株になります

小さな株は葉数も少なく小さい葉しか出せません

愛好家にとっては無理に割るメリットは無いのです

 

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これもピンセットが指すところで割れます

葉が出るところもついているし、根っこもたっぷりあります

分けることに特にリスクはありません

でもこれも今回は割りません

株数を増やすことを第一目的としていないからです

このまま大きく元気な株になるように育てていきます

 

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一番手前の黒い根っこのかたまりが古芋(ふるいも)です

特に切り離す必要は無いのですが、他に株分けしにくいため切り分けました

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切り離した古芋

根っこは少ないけどちゃっかり葉っぱもつけているので

また来年も葉っぱを出してくれるでしょう

 

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 5株だったのが株分けにより3倍くらいになりました

これでまだ、植え付けていない株がいくつか残っています

 

最後に、株分けをするというリスク

株分けする前の株を10とします

それをちょうど半分で割った場合、5:5になるとは限りません

植物自らが分かれた場合は5:5で済みます

それに近い状態で株分けした場合も5:5にできます

ただし、

根っこが少ない、またはまだ株が小さい状態で株分けした場合、

5:5ではなく4:4、もしくは2:2のようにどんどん弱い株になっていきます

下手すると弱すぎて枯れてしまいます

 

大きな株でもあまりに細切れにすると、よくて3:3:4、

1:2:3となってしまいます

くれぐれも株分けしすぎには注意です

 

自分でどんどん株分けしていく品種もあります

雪光殿(せっこうでん)といいます

この品種だけは、小さな株でもいつの間にか増えていきます

他の品種ではとても考えられません

しかも、自分で分かれていくので、小さいまま株が分かれてもどちらも健康体です

不思議な細辛です

しばらく植え替えていないのも数鉢あるので、今現在何株になっているのか

さっぱり分かりませんw

megumiio.hatenablog.com