古典園芸植物 細辛の世界

四代続けて細辛の栽培、品種作出をやっています。細辛の未来を危惧して、途絶えさせないためにも品種の紹介や栽培方法の情報放出をしていこうと思います。

液肥実験

何度も言われてきたセリフ

「液肥や濃い肥料でぼっていかん(追ってはいけない)。芸が濃くなって汚くなるでよぅ。」

やるなと言われたらやりたくなるのが人の業(?)

 

やりましたとも。二年連続で。

 

去年は試し的な感じで瑞玉宝に液肥をかましました

濃度や回数などは記録していないので不明ですが、たしかに鮮やかさが無くなって全体的に暗い葉に出来上がりました

で、

今年はもう少しきちんと記録を残して実験したので、先月くらいにちらっと載せましたが、改めてまとめておきます

 

立ち上げ:2022/10/25

目的:液肥使用における地色の変化を見る(濃くなるか)

内容:11月頭から毎月2回、2000倍のハイポネックスを与える(ちゃんと忘れずやった)

置き肥も併用(控え目)

新葉展開まで(展開した後の5月中旬までやった)

品種:葵錦、金牡丹、御所桜

 

葵錦(出来の良い葉がどう変化するか)

10/25  色・芸共に申し分なし。この年一番きれいにできた葉(写真は少し色あせ中)

 

2023.6月 地色が黒のような緑に

 

置き肥のみの株と比較

右側が通常の施肥(控え目量の置き肥のみ)

亀甲など、斑の色はあまり変わらないが明らかに地色が違う。右の地色は薄目に見えるが鮮やかさがある。左は濃すぎて鮮やかさが無くなった

 

金牡丹(作落ちして色が抜けた葉がどこまで濃くなるか)

10/25  作落ち状態の金牡丹。展開時に色が全くのらず、そのまま秋を迎えた

 

2023.6月 こちらも地色が通常より黒くなったが鮮やかさが無くなった

 

通常施肥の株と比較

写真では分かりにくいかも。展開したては上の葵錦より黒く見えた

 

御所桜(逆芸品種がどうなるのか)

10/25 可もなく不可もなく普通の状態の葉

逆芸品種なので薄い緑の部分が地色として扱われる(本来としてはわずかに残った濃い緑の部分が地色)

2023.6月

濃い緑の部分がさらに濃くなって地色とのコントラストが強くなった。面積が少ないせいかどす黒さは気にならない。

通常施肥の株と比較

 

感想

液肥をやると濃くなるというのは確かでした。なるべく薄くの2000倍にしましたがしっかり影響が現れたと思います。地色が濃くなるのは悪くはないのですが、鮮やかさのある濃さではなく、どちらかというと「どす黒い」緑になるのできれいな葉としては見えなくなります。しかも展開したての頃はもっと濃く、蝶や亀甲など斑の部分にももっと色がのっていたような気がするので一概に「コントラストが強くなってヨシ!」という感じでもなさそうでした。

 

ただ、品種によってはきれいに作るのに使えるかなとは思いました。逆芸品種や、斑の鮮やかさを求められない、地色も斑も濃いタイプの品種ならうまく利用できるかもしれません。葵錦のようにコントラストが大事な品種や、瑞玉宝のように浅斑がいい仕事をするタイプの品種はやめたほうが良さそうです。

また、液肥の成分比率や強さなどで使い分けしてみるのも面白いかもしれません。

まあでも、液肥だろうが置き肥だろうが濃ゆい肥料でゴリゴリに作るのはやっぱり細辛には向いてないかなぁとは思います。

 

細辛に向く施肥は引き続き色々研究していこうと思います。面白い結果が出たらまた記事にします。